ゆらり
日本は大変地震の多い国です。1995年1月に起きた阪神淡路大震災は衝撃的でした。その後も繰り返し各地で地震が起きて大きな被害をもたらしています。人命や財産の被害をできるだけ少なくするために、さまざまな工夫がされています。主なものについて説明いたします。

「耐震(たいしん)」
字のとおり建物などが地震に対して壊れないように手当てをすることです。この実験のように建物にすじかいを入れると揺れに対して強くなります。このほか、壁を強くしたり、柱を太くして建物を強くすることを耐震といいます。特に、阪神淡路大震災以降、建物の耐震診断をして、危険な建物は耐震補強が進められました。写真はすじかいで耐震補強された小学校の例です。

「制震(せいしん)」
建物に制震装置を取り付けてゆれを少なくします。この実験はおもりでゆれをおさえます。地震によって建物が揺れてもおもりは慣性の法則でそのまま残ろうとします。すると、結果的におもりが建物のゆれるのを抑えることになります。ただ、建物にはそれぞれの固有振動(固有周期)があります。おもりも固有周期を持っています。固有周期が合うとゆれが増幅されて(共振)かえって大きくなることがあります。
ぶらんこは揺れに合わせて押してやると揺れをおおきくすることができますが、揺れと逆の方向に力を加えると止まってしまいます。建物などの制震には、おもり以外にバネやゴムなどを使ってゆれを抑えるさまざまな方法があります。
特に、高い建物には主として風による揺れを防ぐために制震装置が取り付けられます。明石海峡大橋の300mの二つのタワーにも制震装置が20台取り付けられています。台北にある世界一高いビル(台北101 高さ508m)には、89階に直径5,5m、重さ660トンのおもりが取り付けられています。
上がかすむ高さ508mのビル

台北101の89階に取り付けられた
660トンのおもり(HPより)

「免震」地盤のゆれを建物などに伝わりにくくする方法です。地盤と建物の間に装置を取り付けます。ゴムであったり、鋼球であったりバネであったりと様々な工夫がされています。地震や風による揺れの方向は決まっていません。どの方向にも対応できるようにしています。

5階建ての鉄筋コンクリートのビルの基礎に取り付けられたゴムの免震装置

実験で大きくゆがんだ免震装置

「長周期(ちょうしゅうき)」
地震による揺れの大きさやゆれ方は決まっていません。またゆれる方向もまちまちです。速く小刻みに揺れることが多いのですが、ゆっくりゆれる地震もあります。一方建物では、小さなものは早くゆれ、大きく高いものはゆっくりゆれます。すべてのものに固有周期があります。高いブランコがゆっくりゆれて、低いブランコが早くゆれるのと同じです。地震の揺れは、通常はゴトッ、ゴトッ、ゴトッとゆれますが、遠くで大きな地震が起きた場合や地盤が軟らかいときなどは、ユーラ、ユーラとゆっくりゆれます。ゆっくりゆれるゆれ方は長周期のゆれといいます。高く細長い建物がこの長周期の揺れに会うと、とても大きな揺れになることがあります。